男「僕の声が聞こえてたら、手を握ってほしいんだ」

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1: :2013/06/10(月) 23:42:38 ID:

「ありがとうございました」
僕は椅子から立ち上がり、医者に背を向けて言った。
こんなところ、もう二度と来ない。

「気を落とさないでほしい。きっと助かる方法はある」
医者はしゃがれた声で、なぐさめるように無責任なことを言う。
どうも業務的な発言に聞こえるのは、
僕の気分が最悪に近いだからだろうか。

もう医者の顔を見たくなかったので、
「そうですね」と適当にあしらい、
振り返らずに早足で診察室を出た。

夢を見ているような気分だ。まさに悪夢だ。
ただでさえ僕は病院と医者が嫌いなのに、
病院で医者に余命を宣告されるなんて、悪夢以外の何物でもない。
真っ白な壁と医者の声に挟まれて、
ゆっくりと潰されているような、いやな感覚がした。 

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